ただ、財団法人日本国際政治学会の定款(寄附行為)には、次のように書かれています。「目的 第三条 本会は国際政治、国際政治史並びにこれに関連する国際経済その他の学術の研究、発表及び普及を図り、これら研究者相互の親睦協力を図ることを目的とする」(太字は筆者による)。つまり、学会の定款上は、「これに関連する」という限定付きながら、国際経済も研究の対象とすることが明確に謳われています。また、私以外にも日本国際経済学会と掛け持ちで日本国際政治学会にも入っておられる方を、私自身、少なくとも数名知っています。その中には、かなり著名な先生方もおられます。
前置きが長くなりました。いくつか雑感を記します。まず研究報告について。今年の大会では、開発や国際経済にも関わる報告が、例年以上に多かったのが印象的でした。いずれも、経済学サイドからの研究とは視点が異なりますが、かえって勉強になることが多くありました。
次に開催施設(札幌コンベンションセンター)について。これにはちょっと不満があります。最大の不満は、報告会場のほとんどが椅子のみで、机がなかったことです。こうなると、あとは膝の上でメモを取るしかありません。これはわたしのように長身の人間にとっては、腰に負担となるつらいことです。そして3日間ずっとこのような不自然な体勢でメモを取り続けていたので、腰痛になってしまいました。過去の開催会場ではほとんどの会場で椅子がありましたし、そもそも参加費として3000円も払っているのだから、これはいただけません。また、無料の無線LANが提供されていないのも残念です。少なくとも昨年の会場だった神戸国際会議場では、無線LANが無料で使えました。その他にも、施設として見た場合、札幌コンベンションセンターには、まだ新しい施設だということもあってか、改良の余地があるように思われました。じつは私のゼミ生が、コンベンション産業をテーマに卒論を書きたいと言っていますので、今回はコンベンション施設の競争力とか良し悪しについて、私自身も少し考えさせられました。
最後に、これはいつも学会に行くたびに感じることで、したがってあちこちで言っていることですが、若く、優秀で、しかも行き場のない研究者が、日本国際政治学会にはゴロゴロしています。他の分野でも多かれ少なかれ見られることですが、IRの分野では特に、研究者の需給バランスが大きく崩れているといって良いでしょう(経済学の分野では、ここまで需給バランスは崩れていません)。能力と体力に溢れた若い逸材を活用できていないのは、国家的な悲劇です。若い研究者の未来が安定したものになることを祈らずにいられません。と同時に、学生会員の会費を割り引くなど、他の学会では当たり前のようになされている若手研究者の支援に、この学会としても取り組む必要があるようにも思われます。
下の写真は、羽田空港からの帰路の品川駅のホームから見えた、旧「パシフィックホテル」を利用したイルミネーションです。ちょうど10月31日は、羽田空港の国際線ターミナルが本格稼動したということで、このような装飾がなされていたようです。「世界へ」の隣がよくわからなかったのですが、こちらを見ると、電車のマークのようです。
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